CASHI

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梅沢和木個展「黒の夢」

「黒の夢」

COVID-19の影響により会期や営業時間を変更する場合がございますので、当サイトやSNS(Twitter : @cashi_jp)などで最新情報をご確認の上ご来場下さい。

【前期】2020年7月25日(土) – 8月16日(日)
【後期】2020年8月27日(木) – 9月20日(日)
出展作家:梅沢和木

 この度CASHIでは、梅沢和木個展「黒の夢」を開催致します。梅沢は、インターネット上に拡散する画像を収集し再構築するというブリコラージュ的な制作手法で、独自の絵画面を生み出し続けてきました。
 CASHIでの梅沢の個展開催は、2013年の「梅沢和木回顧展」以来およそ7年ぶりとなります。この間に梅沢は、国内の主要美術館でのグループ展への参加や海外での個展開催などの経験を経て、さらに大きな進化を遂げたと言ってよいでしょう。
 そんな梅沢は今回、自身がずっと持ち続けていた死によって意識が失われる恐怖と改めて向き合い、それらを近年制作してきた「黒」のイメージと接続させました。
 本展示は、これらの最新作を一挙にご紹介するため、二部構成にて開催致します。この機会にぜひご高覧賜りたく、ここにご案内申し上げます。

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【感染予防ご協力のお願い】
・発熱や風邪の症状があるお客様はご来廊をご遠慮ください。
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・作品にはお手を触れないようお願いいたします。


ピグメントのプログレス
長谷川新(インディペンデントキュレーター)
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作家コメント
梅沢和木

 キャラクターというのは死なないわけで、本当に羨ましく思っている。
 自分はいつか死ぬ。100%?死ぬのだろうか。
 自分以外の人間が過去に全員死んでいたのだから、それを踏まえて考えるとおそらく死ぬだろう。多くの人が経験してる通り、自分が子供の頃未来の死の事実が怖くて怖くて嫌で仕方がなかった。そのことを思い出すたびに辛く、悲しかった。普通は大人になるとその怖さは変わっていき、死を受け入れた上でどのように生きていくかという考えに至っていくのかもしれない。しかし自分はその恐怖がまったく変わらず、思い出すたび胸の奥が圧迫されるようで苦しくなり、発狂しそうになる。
 死ぬことについてを人間は考え続けてきた。宗教や思想を介して様々な想像がそこにはある。しかしそれはすべて想像の歴史で、死後人間の意識が本当にどうなるかは今の所誰も何もわからずにいる。
 意識、そう意識が消失するということが何より恐ろしい。なにか病気になったり怪我をしたり殺されたりする時の苦しみ痛み、そういったものが怖いのではない。今あるこの自分の意識、漠然としたこの自分という総体が消失してしまうことの確約が本当に恐ろしく、嫌なのだ。それなりに思い入れのある身体が無くなるというのは物質的な摩耗、消耗もあるから仕方ないとも思える。だがこの意識だけは、なんとか無くならず永続することは叶わないのか、常々考え続けている。
 作品や本によって思想が残り、人が死んだ後も人々や世界に影響して生き残っていくという考え方もある。作品や思想が生きていくという考えだ。子どもを生み育て、DNAを引き継いでいくという考えもある。理解はできるが、どれも自分自身の消失、雲散霧消という未来は逃れられない。自分の、私の、己の意識が無くならないで欲しい。他の何よりも。
 このような自分本位、自分中心な自己意識への執着を抱きつつも平然を装い日々の生活を送り、また作品を作り続けている。何かを見て楽しんだり、それを反映させて作品を作り発表していくことは死を忘れる効用がある。
 キャラクター表現は、人類の時間の中で見たら実に最近の出来事だ。奇妙な造形表現の一つとしてほんのわずかな痕跡が歴史の中に登録されたとして、人類の、そして地球や宇宙の膨大な時間の中の一瞬の、些末な点でしかないかもしれない。その表現に自分は約10年程執着してきたが、自分の作品や人生ももっとわずかな痕跡だろう。
 人生の長さを圧倒的に超えた茫漠とした地球や宇宙、世界の持つ時間の長さ。その中で途方も無い確率をくぐり抜け意識を持ち生まれ得た自分自身という存在は誰しも尊く、替えがたい。それが死によって本当に失われるのか、その時にだけ判明する。この意識というものが、死の後にも曖昧とぼんやり世界に存在し続けるとしたら幽霊の概念に近いだろうか。目をつぶると目の前に広がる暗闇の世界、それは黒で表現されるが、死んだあとに感じられる、見え続けるイメージは黒なのだろうか。その黒の彼方に何か見えるとしたら、自分でもなく、キャラクターの画像なのではないか。人間の写しである奇妙な造形達が、生きている時に見てきたキャラクター達が、暗闇の中から微かに浮かび上がってくるような、そんなイメージが脳裏に浮かんでいる。
 「黒の夢」という作品を以前制作した。
 クロノ・トリガーというゲームに出てくる宙に浮かぶ巨大な建造物から取った名称だ。この頃、作品が全体的に黒くなっていく傾向があった。2010年頃のインターネットの画像を背景にして明度が暗く黒くなり、前面のレイヤーが明るく前に出てくるような構図だ。なぜそのように画面を黒くしていったのかとくに自分で意識していたことはなく、作品が黒くなっていく予兆と「黒の夢」が持つ浮遊感と不穏さがしっくりきて名称を引用した。
「黒の夢」は英語版だと「BLACK OMEN」と訳されている。日本語に再翻訳すると「悪い予兆」といった意味になるだろうか。2020年の現在の世界をふまえると縁起でもない捉え方をしてしまいそうになるが、この時から作り始めた黒のシリーズと、自分自身が持つ死による意識の消失への恐怖と、死後に見え、抱き得るイメージを繋げ、新たに作品化する。

Exhibition

「はたからみる」

2023 : Exhibition

「遷移する風景♡」

2021 : Past

梅沢和木個展「黒の夢」

2020 : Past

高見澤峻介個展「Screening Organon」

2020 : Past

「Group Show IX」

2020 : Past

三輪彩子個展「窓ごしに手を見る」

2018 : Past

「Group Show VIII」

2017 : Past

「dpi」

2017 : Past

三木サチコ個展「Boundary zone」

2017 : Past

「HOLE/WHOLE」帆苅祥太郎・川村喜一

2016 : Past

「Body」興梠優護・齋藤永次郎

2015 : Past

「Celsius」

2015 : Past

高橋つばさ個展「芒種」

2015 : Past

「正規表現」宮田聡志・三輪彩子

2015 : Past

興梠優護個展「Ripple」

2014 : Past

サガキケイタ個展「転式」

2014 : Past

興梠優護個展「Hopscotch」

2014 : Past

Group Show VII

2014 : Past

北加賀屋クロッシング2013 「MOBILIS IN MOBILI -交錯する現在-」 

2013 : Past

出野虹大「偽花魔法蟷螂」

2013 : Past

Group Show VI -Drawing Selection-

2013 : Past

「梅沢和木回顧展」

2013 : Past

三木サチコ個展「やわらかな球めぐる粒」

2013 : Past

帆苅祥太郎個展「うつろの観者」

2013 : Past

「Group Show V」

2013 : Past

「ラッセン展」

2012 : Past

「100 degrees Fahrenheit vol.3」

2012 : Past

梅沢和木「大地と水と無主物コア」

2012 : Past

興梠優護「boiling point」

2011 : Past

宮田聡志「雨漏り」

2011 : Past

parapera presents 「LIVE! LIVE! LIVE!」、「FUTURE ZINE WORKSHOP」、「NEW ZINE WORKSHOP」

2011 : Past

「Group Show IV」

2011 : Past

「matter」

2011 : Past

加藤直個展 「sunao」

2011 : Past

「Group Show III」

2011 : Past

サガキケイタ 「Obit」

2010 : Past

「parapera show ∽(シミリス)」

2010 : Past

「それらすべてを光の粒子と仮定してみる」

2010 : Past

「Group Show II」

2010 : Past

「再生する崩壊する自我する梅沢和木するラウンジする画像コアする*ラウンジ」

2010 : Past

梅沢和木 「美しい画像コア」

2010 : Past

「100 degrees Fahrenheit vol.2」

2010 : Past

悠久齋 「花も嵐もかきわけて」

2010 : Past

杉浦慶太 「Inkjet」

2010 : Past

Negam! 「ザギンでシースーを -Breakfast at Tiffany’s-」

2010 : Past

「誠実な草」

2009 : Past

三木サチコ 「プレゼントは雨の後ろ」

2009 : Past

「ニエプスの箱・右 / 左」

2009 : Past

「愛と笑いと涙を」

2009 : Past

「Group Show I」

2009 : Past

「不死鳥と雉鳩 -真夏の夜の夢2-」

2009 : Past

「100 degrees Fahrenheit vol.1」

2009 : Past

吉永マサユキ 「ちょッカン」

2009 : Past

Nam HyoJun 「ミドルテンション」

2009 : Past

興梠優護 「melting point」

2009 : Past

笹田靖人 「U to Pia」

2009 : Past

杉浦慶太 「森 -Dark Forest-」

2008 : Past

悠久斎 「わたしのために」

2008 : Past

サガキケイタ 「Birthday」

2008 : Past

三木サチコ 「震度1の微震」

2008 : Past

助田徹臣 「日没後に向こう側」

2008 : Past

「真夏の夜の夢」

2008 : Past

帆苅祥太郎 「Behind the Sun」

2008 : Past

「100 degrees Fahrenheit vol.0」

2008 : Past